自営業やフリーランスとして働きながら、子どもを保育園に預けているママにとって、「本当に就労として認められているのか」という不安は小さくありません。在宅で仕事をしていると、外から見えにくいぶん、働いていないと思われるのではと心配になることもあるでしょう。
認可保育園は「保育の必要性」が入園・継続利用の条件となっており、就労状況は毎年書類で確認されます。自営業の場合は会社員と異なり、就労証明書を自分で作成しなければならないため、書き方や必要書類の準備が特に大切です。
この記事では、自営業・フリーランスが保育園に正当に入るための手順、「バレる」とはどういう状況を指すのか、もし虚偽申請をした場合のリスクと、就労状況が変わったときの正しい対応を整理します。
自営業で保育園に入れる条件とバレる不安の正体
認可保育園は、保護者が就労・病気・介護などの理由で家庭での保育が難しいと認定された場合に利用できる施設です。この「保育の必要性の認定」は、こども家庭庁の管轄のもと、各市区町村が行います。自営業やフリーランスであっても、就労実態が認められれば入園できます。
認可保育園は点数制で審査される
認可保育園への入園審査は、各自治体が独自に設定する「指数(点数)」によって行われます。保護者の就労状況・就労時間・同居家族の状況などを数値化し、その合計点が高い世帯から優先的に入園できる仕組みです。
たとえば東京都港区の場合、父・母それぞれの「基準指数」(就労日数や勤務時間などを数値化したもの)と「調整指数」(世帯状況・子どもの状況を加味した加減点)の合計で入園の可否が決まります。就労時間が多いほど基準指数が高くなりやすい仕組みです。
自営業・フリーランスの場合も、週の就労日数や1日の就労時間が会社員と同等であれば、同等の指数が得られる自治体がほとんどです。ただし、自己申告のみで証明するのが難しいため、証明書類の充実が求められます。
自営業でも入園できる、ただし就労実態の証明が必要
保育園(保育所)は児童福祉法に定められた児童福祉施設であり、保護者の雇用形態を問わず、保育の必要性が認定されれば利用できます。フリーランス・個人事業主でも、就労していることを証明できれば入園申請が可能です。
会社員は就労証明書を会社が作成しますが、自営業・フリーランスは自分が雇用主であるため、自分で就労証明書を作成します。加えて、開業届のコピー・確定申告書のコピー・事業の実態を示す書類(契約書や取引履歴がわかる通帳のコピーなど)の提出を求められる自治体も多くあります。
保育の必要性が認定されているかどうかが問題の本質
「バレる」という表現で心配している方の多くが気にしているのは、「働いていない、または就労実態が薄い状態で保育園を継続利用しているとばれること」です。就労の継続は毎年確認されるため、状況が変わったのに申告しないでいると、書類の照合で不一致が出る可能性があります。
一方で、実際に自営業として活動している状態であれば、適切な書類さえそろえれば継続利用は認められます。「自営業だから不正のように見られるのでは」と不安になる必要はありません。重要なのは、就労実態と申告内容が一致していることです。
・就労実態があること(就労日数・就労時間が自治体基準を満たすこと)
・就労実態を証明する書類をそろえること
・状況が変わったときは速やかに自治体へ申告すること
- 認可保育園は児童福祉法に基づく施設であり、就労形態を問わず保育の必要性が認定されれば利用できる。
- 自営業・フリーランスは就労証明書を自分で作成し、開業届や確定申告書などで事業の実態を証明する。
- 毎年の更新審査で就労状況が確認されるため、実態と申告内容の一致が重要。
働いていない・就労が曖昧な状態がバレる主な経路
認可保育園では、入園時だけでなく継続利用の際にも毎年就労証明書の提出が求められます。就労状況に変化があったにもかかわらず申告しないでいた場合、いくつかの経路で自治体や保育園に状況が伝わることがあります。
年度更新時の書類照合で発覚するケース
認可保育園では、年1回程度「現況確認」や「継続利用申請」と呼ばれる手続きがあります。このときに就労証明書を改めて提出しますが、前年度の内容と大きく異なっていたり、内容に矛盾がある場合、自治体から問い合わせが入ることがあります。
たとえば、前年度は会社名・勤務時間を記載していたが、翌年度は記載がない・就労時間が著しく減っているといったケースです。収入証明書(源泉徴収票や住民税の課税証明書)の提出を求められる自治体もあり、そこでも就労実態が確認されます。
自治体が職場に直接確認を取るケース
各自治体の窓口では、申請内容に疑義があると判断した場合、就労先に直接電話で確認を入れることがあります。会社員であれば勤務先に確認が取れますが、問い合わせに対して申請内容と食い違う回答が返ってきた場合、虚偽申告と判断されます。
自営業・フリーランスの場合は、記載した事業所名や代表者名で自治体が連絡を試みることもあります。屋号や事業内容が実在しないと確認された場合、就労実態がないと判断されるリスクがあります。
ママ友・保育士・近所の人からの通報
「子どもが平日毎日元気に登園しているのに、親は自宅にいる」という様子を目撃した近隣の方や保護者が、匿名で保育園や自治体に通報するケースも実際に報告されています。
保育士も、迎えの時間帯・送迎者の変化・日頃の会話内容などから「状況が変わったかもしれない」と感じることがあります。意図せず日常会話の中で就労していない状況が伝わるケースもあります。通報や情報提供があった場合、自治体が調査に入ることがあります。
住民税や課税情報との照合
認可保育園の保育料は、世帯の課税状況をもとに決定されます。所得が大幅に減少している・申告がないといった状況が住民税の課税証明書から明らかになり、「就労していないのでは」と疑われることもあります。
確定申告をしていない状態の自営業者は、所得ゼロではなく最高額の保育料区分に設定される自治体もあります。自営業として働いているなら、確定申告は適切に行っておくことが書類の整合性を保つ上でも大切です。
| バレる経路 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 年度更新書類の照合 | 前年との内容の相違・就労証明書の未提出 |
| 自治体による職場への直接確認 | 申請内容と勤務実態の食い違い |
| 近隣・ママ友・保育士からの通報 | 日常の様子から就労実態がないと判断される |
| 課税情報との照合 | 保育料算定の際に所得実態が確認される |
- 継続利用審査は年1回あり、就労状況の変化は書類で確認される。
- 自治体が直接勤務先へ確認を取ることがある。
- 通報・課税情報など、複数の経路で状況が判明することがある。
就労証明書を偽造・ごまかした場合の法的リスク
就労証明書の偽造や虚偽記載が発覚した場合、単に保育園を退園になるだけでなく、刑事上の責任を問われる可能性があります。在宅副業や自営業を始めたばかりの方が「形だけ整えておこう」と考えることのないよう、リスクの内容を正確に把握しておくことが必要です。
私文書偽造罪が適用される可能性がある
就労証明書は「私文書」にあたります。内容に虚偽を記載したり、実在しない会社名・勤務実態を記載したりすることは、刑法第159条に定める私文書偽造罪に該当する可能性があります。罰則は3か月以上5年以下の懲役です。
「自営業手伝いとして書いたが実際には働いていない」「勤務時間を水増しした」といったケースも、偽造・虚偽記載として問題になることがあります。書類を作成した家族や親族が連座して問われるリスクもゼロではありません。
詐欺罪の可能性・保育料の返還を求められるケースも
虚偽の申告によって本来受けられない行政サービス(認可保育園の利用)を受けた場合、詐欺罪として扱われる可能性もあります。また、不正に低い保育料を適用されていた場合、差額の返還を求められることも考えられます。
軽微な食い違いですぐに刑事告訴されるケースは多くありませんが、「悪質」と判断された場合には立件される可能性があります。「ちょっとのごまかし」が想定外の結果を招くことを、冷静に受け止めておく必要があります。
退園・再入園困難・信頼の喪失というリスク
不正が発覚した場合、まず保育園の退園処分を受けます。それだけでなく、同じ自治体内の他の認可保育園への再入園が困難になったり、下の子どもの入園審査にも影響が及ぶケースがあります。
一度自治体の記録に不正な申告の履歴が残ると、その後の申請で書類の精査が厳しくなる場合もあります。子どもの生活環境を守るためにも、正直な申告を続けることが長期的には安心への近道です。
・虚偽記載→私文書偽造罪(刑法第159条)・3か月以上5年以下の懲役
・不正入園→詐欺罪・保育料差額の返還請求の可能性
・発覚時→退園処分・再入園困難・将来の審査への影響
- 就労証明書の偽造・虚偽記載は刑法上の私文書偽造罪にあたる可能性がある。
- 悪質と判断された場合は刑事告訴されるリスクがある。
- 退園後の再入園が困難になる場合があり、下の子への影響も生じうる。
自営業・フリーランスが保育園に正当に入るための書類と手順
自営業・フリーランスが認可保育園の入園審査を通過するためには、就労実態を複数の書類で証明することが重要です。書類の種類や求められる内容は自治体によって異なるため、早めに担当窓口に確認して準備を進めるとよいでしょう。
就労証明書は自分で作成する(2025年度から標準様式が原則に)
会社員の場合は勤務先が作成する就労証明書ですが、自営業・フリーランスの場合は自分が雇用主に当たるため、自分で作成します。事業所名には屋号または氏名を記載し、代表者名も自分の氏名を記入します。
就労証明書の様式は、こども家庭庁による子ども・子育て支援法施行規則の改正(2024年9月30日公布・施行)により、2025年度入所分から「様式第一号」として全国で原則統一されました。様式はマイナポータルの「就労証明書作成コーナー」またはこども家庭庁の公式ページからダウンロードできますが、自治体によって独自様式が残っている場合もあるため、お住まいの自治体の保育課で最新の様式を確認してください。
開業届・確定申告書のコピーで事業の実在を示す
自営業として働いていることを証明するために、税務署に提出した開業届(「個人事業の開業・廃業等届出書」)のコピーが求められる場合が多くあります。開業届を提出していない場合、自治体によっては「内職」扱いで指数が低くなることもあるため、副業・在宅ワークを本格化させるなら開業届の提出を検討するとよいでしょう。
確定申告書の控えも、所得の実態を証明する資料として活用できます。申告書の控えがない場合は、所轄の税務署の窓口またはe-Taxから取得できます。また、開業直後で確定申告書がない場合は、契約書・発注書・受領書・通帳のコピーなどで代替できる自治体もあります。詳細は各自治体の保育課に確認してください。
就労実績表の自作・スケジュール表の活用
就労時間の証明が難しい場合、直近3か月の業務実績や1日のスケジュールをまとめた「就労実績表」を自作して添付する方法があります。月ごとの稼働日数・稼働時間・業務内容を具体的に記載し、実態を詳しく伝えることがポイントです。
神奈川県川崎市幸区の場合は、就労証明書に加えて「スケジュール表」と「自営の証明書類の写し」の提出が求められることがあります。自治体ごとに求められる書類が異なるため、申請前に必ず窓口で必要書類のリストを確認してください。
認可外保育園・小規模保育園も選択肢に入れる
認可保育園の審査で点数が低くなりやすい状況(開業直後で確定申告書がない、就労時間が短いなど)の場合、認可外保育園や小規模保育事業を選択肢に加えることも現実的です。
認可外保育園では、空きがあれば就労証明書なしで入園できるケースもあります。また、3歳から5歳の子どもが対象の「幼児教育・保育の無償化」の適用を受けるには、市区町村から「保育の必要性の認定」を受けることが必要です。この認定を受けるためには、認可外でも就労証明書などの書類提出が求められます。詳細はこども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化」のページをご確認ください。
| 書類の種類 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 就労証明書 | 自分で作成。2025年度より標準様式が原則 | 自治体によって独自様式あり |
| 開業届コピー | 税務署へ提出した開業届の写し | なければ内職扱いになる自治体も |
| 確定申告書コピー | 前年度の確定申告書の控え | e-Tax・税務署窓口で取得可 |
| 事業実態書類 | 契約書・発注書・通帳コピーなど | 開業直後の代替書類として使用可 |
| 就労実績表(自作) | 直近3か月の稼働実績・1日のスケジュール | 自治体によって求められる場合あり |
- 2025年度から就労証明書の標準様式が全国で原則統一(様式第一号)。自治体の最新情報を確認する。
- 開業届・確定申告書コピーで事業の実在を証明する。書類が不十分だと指数が低くなることがある。
- 認可外保育園や無償化の仕組みも含めて、選択肢を広く持っておくとよい。
就労状況が変わったときに取るべき正しい対応
在宅副業や自営業を続けていると、仕事量の増減・産休・育休・廃業・転職など、就労状況が変わることは珍しくありません。状況が変わったとき、保育園に関してどのような対応が必要なのかを把握しておくと、慌てずに動けます。
退職・廃業した場合の猶予期間と手続き
退職や廃業をした場合でも、子どもはすぐに退園にはなりません。多くの自治体では、1か月から3か月程度の求職活動のための猶予期間が設けられています。ただし、猶予期間の長さは自治体によって異なるため、まずは在籍している保育園または自治体の保育課に確認してください。
猶予期間内に新しい仕事が決まった場合は、再度就労証明書を提出して継続利用の手続きをとります。期間内に就職・開業が間に合わない場合は、退園になる可能性があるため、早めに動くことが大切です。
就労時間が減った・産休・育休を取得した場合
時短勤務や育休取得により、保育認定に必要な就労時間を下回る状況になった場合、退園になるかどうかは自治体によって対応が異なります。「申立書」を提出することで一定期間の継続利用が認められる場合があるため、自治体の窓口に相談してください。
副業として在宅ワークを行うことで就労時間を補完するという方法もあります。この場合も、副業の就労実態を証明する書類を別途そろえる必要があります。いずれにしても、状況を放置するのではなく、窓口に相談してから動くことがトラブル回避につながります。
就労証明書の内容が変わったときは速やかに更新を
転職・開業形態の変更・勤務先の変更など、就労証明書の記載内容が変わった場合は、速やかに自治体に申告して書類を更新します。前年度の記載と翌年度の記載に大きな齟齬があると、自治体から問い合わせが入ることがあります。
届出が遅れた場合でも、悪質な虚偽申告と判断されなければ即退園になるケースは多くないとされています。ただし、変更があったまま申告しないでいることが積み重なると、審査の際に不正と見なされるリスクが高まります。気づいたときに速やかに窓口に相談することが安心につながります。
・退職・廃業→まず保育課に猶予期間を確認
・就労時間の減少→申立書の提出で継続できる場合あり
・転職・開業形態の変更→就労証明書を速やかに更新して提出
- 退職・廃業後は1〜3か月の求職活動期間が設けられている自治体が多いが、期間は自治体ごとに異なる。
- 就労時間が基準を下回った場合は、申立書の提出や副業による補完という方法を窓口に相談できる。
- 記載内容の変化は放置せず、気づいたときに速やかに申告することが大切。
まとめ
自営業・フリーランスで保育園を利用する場合に最も大切なのは、就労実態と申告書類の内容を一致させることです。働いている実態があれば、書類をしっかりそろえることで認可保育園への入園・継続利用は十分に可能です。
まず取り組むべきことは、自治体の保育課に必要書類のリストを確認し、就労証明書・開業届・確定申告書を準備することです。就労状況に変化があれば、その都度速やかに窓口で手続きを取ることで、不必要なリスクを避けられます。
保育園での生活が子どもにとって安定したものであり続けるよう、状況の変化をこまめに自治体と共有しながら進めていきましょう。
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